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石膏像ってナンダ?

石膏像

みなさんこんにちは!

今回は美大受験生のみなさんにとってはお馴染みの石膏像について取り上げてみたいと思います。美大予備校としても機能している本校には、教室に入ると様々な石膏像が置いてあります。デッサンの基礎を学ぶ者にとっては避けては通れない石膏像…そもそも石膏像とは何なのか?石膏デッサンによって何が身につくのか?描く前に知っておきたいポイントをおさえておきましょう!

デッサン用の石膏像とは?

ギリシャ・ローマ時代、ルネサンス期の理想的な美しさを表現した彫刻を原型としているレプリカです。主なものに、ブルータス、マルス、ミロのヴィーナス、ヘルメス…等があります。

石膏デッサンをすると何が身につくの?

① 明暗表現

 石膏像は白いので、光による陰影の変化がわかりやすいモチーフです。白、黒、グレーのみでモチーフのすべてを表現しなければならないデッサンの世界において、モチーフの起伏から生まれる明暗を見分けることはとても重要です。「白いもの」をよく見て観察し、描き出す技術を身につけておけば、様々な質感表現に活かすことができます。白いものだからといって、淡い調子をつけるだけでは、石膏像そのものの立体感や存在感を表現することはできません。明から暗までの濃淡を幅広く使い分けることで、白い石膏像の質感を表すことができます。

② 観察力

 実際の人物デッサンと違い、石膏像は静物同様動きません。そのため満足するまで何度も石膏像に向き合って観察し、デッサンすることができます。その過程で、石膏像の量感や明暗、構造等への理解を深めることができるのです。モチーフである石膏像をじっくり観察し、気が付いたことをどのように画面へ表現していくのか考え、何度も挑戦することが、画力の向上へ結びついていくでしょう。

③ 質感表現

 石膏像はいわば「白い石の塊」でできています。1種類のみの質感表現で描くことができるため、人物デッサンの予備練習に最適です。

④ 形態に対しての美意識

 先にご紹介した通り、石膏像の多くはギリシャ・ローマ時代、ルネサンス期の理想的な美しさを追求した彫刻作品が元になっています。そのため、石膏像の均整のとれた形態の美しさを、デッサンを通して学ぶことができます。

東京藝大の入試では石膏像のデッサンが出題されることで有名ですが、実際に入試問題で石膏像のデッサンが出題される大学は多くはないようです。ですが、デッサンの基礎力を向上させる近道として、あるいはこれまで学んできた力試しとして、石膏像デッサンに挑戦してみると、何か大きな発見が待っているかもしれませんね。

ここからは、本校に置いている石膏像をいくつか紹介していきたいと思います。第1回目の今回は、ブルータスをご紹介します!

【石膏像紹介第1回】ブルータス胸像

東富有先生 デッサン作品

ミケランジェロ・ブオナローディ作。フィレンツェ、バルジェロ美術館収蔵。1539年頃製作。

ローマ時代のカエサル暗殺事件の首謀者で、共和派のリーダーだった「マルクス・ユニウス・ブルータス」の肖像です。

ブルータスと聞くと、「ブルータス、お前もか!」というセリフ(シェイクスピア“ジュリアス=シーザー“)が頭に浮かびますが、ここで言うブルータスと、今回の石膏像のブルータスは実は別人だと言われています。(諸説あるようです)

ちなみにこのセリフは、マルクス・ブルータスと同様、暗殺計画に参加したカエサルの腹心の部下であった「デキムス・ユニウス・ブルートゥス」に対しての発言だったと言われているようです。デキムスの方も「青年ブルータス」として胸像が残されています。

「マルクス・ユニウス・ブルータス」の胸像は、ミケランジェロ60歳の頃の作品です。実際にミケランジェロが作ったのは頭部のみで、衣服のほとんどは弟子のカルカーニが作ったとされています。ローマ風に作り込まれた衣服の部分とは対照的に、頭部の頭髪は未完成のままなようです。未完のままとはいえ、ミケランジェロのタッチはそのまま作品に残されています。

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