2024.6.19~6.24 AZUMAs絵画展 in 新潟伊勢丹アートギャラリー

学芸員資格を取得するには!大学で学芸員資格を取得した瞳先生にインタビュー

AZUMAs美術学院(略してアズビ)の学生の中にも、学芸員になりたい方がいると思います。学芸員になるためには、学芸員資格を取得する必要があります。取得の仕方を、インタビューを通して紐解いていきます。

東有達

よろしくお願い致します

東瞳

こちらこそ、よろしくお願いします。

東有達

早速ですが学芸員資格について、インタビューさせてください。

学芸員資格取得を目指したきっかけは?

ーー東瞳先生 絵画が好きで、大学では美術史を学びたいと思い、芸術系の学科に進学しました。

大学進学を機に、芸術活動を支えていく側の仕事に興味が湧き、中でも芸術作品の保存や修復、展示に関わる事ができる博物館学芸員を目標に、資格取得を目指しました。

大学の学芸員資格課程ではどんな授業がありましたか?

ーー東瞳先生 博物館概論や経営論、保存と修復、博物館実習…などなど、その名の通り、博物館という施設の組織構成や博物館の持つ機能や役割、作品の保存方法などを学びました。博物館実習以外は、いずれも座学がメインでした。

しかし、時には外部から美術作品の撮影を行うプロカメラマンの方が招かれ、実際の撮影風景を見学したり、学内にある作品収蔵庫の設備を見学したりと、プロの仕事や実際の設備を間近で見学することができる授業もありました。

撮影実習の様子

また、美術作品の展示時に、照明による演出を担当しているプロの照明家の方が外部講師となり、展示プロデュースの手法を学ぶ授業があったりと、資格課程ならではの貴重な体験をすることもできました。

(授業の内容については大学によっても異なると思いますので、あくまでも参考までに)

印象に残っている授業はありますか?

ーー東瞳先生 先程も簡単に紹介させていただきましたが、展示プロデュースの授業がとても印象に残っています。

この授業は、前半は講師による座学、後半は学生たちによる実践的な展示プロデュースという構成でした。後半の展示プロデュースは、実践といっても学内の展示スペースが会場でしたが、一から展覧会を作り上げる過程を学ぶことができ、最終的には一週間ほど実際に展示を公開しました。

展示の様子

本物の美術作品を展示するのではなく、私たちに与えられた展示物はまさかの100円均一の商品です(笑)。

「100円均一で買える商品を、どのようなコンセプトで展示すれば、面白く見てもらえるだろうか?」

「100均一の商品にどんな問題提起をすれば、それはただの商品ではなく、展示作品として見てもらえるだろうか」…毎日100円均一の商品と向き合い、展覧会におけるコンセプトがいかに大切かを学べた気がします。

博物館実習ではどんなことをしますか?

ーー東瞳先生 実習では、作品収蔵庫の内部見学や収蔵作品の紹介、資料室見学、開催中展覧会の会場スタッフ体験、作品搬入の見学・お手伝い…など、美術館で働く学芸員のお仕事を近くで見学・体験することができました。また実習生によるワークショップの時間もほぼ毎日ありました。

博物館実習については、実習先の施設によって日程や内容が異なるようです。私は大学近くの市営美術館へ5日間の実習に行きました。

大体夏休みなどの長期休暇中に実習生を受け入れる施設が多く、帰省中に地元の文化施設に実習に行く学生も多い印象でした。ちなみに都心部の人気の施設などは実習希望者が定員オーバーすることもあるので、事前に選考がある場合もあるようです。

博物館実習で印象に残っていることは?

ーー東瞳先生 収蔵庫で浮世絵の保管方法を見学したことは印象に残っています。ガラス越しでない作品を目の当たりにし、緊張感もありましたが、間近に作品を観察することができて感動しました。学芸員のみなさんが、愛を持って作品の保存に勤めているんだと実感できました。

また、実習生みんなで行うワークショップも印象に残っています。一緒に実習を受けた学生の半数は他大学の学生だったのですが、持っている知識や問題の捉え方、解決へのアプローチなどがそれぞれ違い、とてもいい刺激になったことを覚えています。

学芸員資格課程を受講する中で大変だったことはありますか?

ーー東瞳先生 資格取得を目指すプログラムということもあり、他の授業に比べて単位を取るのが大変な授業もありました。どんなことが大変なのかというと、一つ目に、課題をこなすために必要な出費や労力が大きいということです。

授業では実際に展覧会や施設の見学をした上で、レポートを作成するという課題が多く出されました。指定の展覧会を自費で見に行かなければならないので、交通費、入場料、施設に辿り着くための労力など、学生にとっては若干負担が大きいものがありました。

レポートの課題で訪れた秋野不矩美術館

二つ目に、意外と英語力が問われるということです。これはほんの一部の授業でしたが、英語でレポートを作成し、それがそのまま評価対象にされるということがありました。

博物館学芸員の実務経験を持つ先生によると、「学芸員は海外の美術館とも連絡のやり取りを行う場面が結構あるので、学芸員は英語のスキルも求められる」とのことでした。必修科目でありながら、英語レポートに苦戦した学生は多かったと思います。

 最後に、これから学芸員資格取得を考えている方へ向けてアドバイスなどがあれば教えてください。

ーー東瞳先生 資格課程修了にあたって、大変なこともありましたが、日々の授業や実習を通して、美術作品にふれたり、博物館に関わるプロの仕事を見学したり、施設の役割や機能を再確認したりと、かなり実りの多い経験を積むことができたと思っています。

学芸員資格は私の大学以外にも多くの大学で資格取得が可能なので、ぜひ興味がある方には挑戦してほしいと思います(芸術、美術系の学部でなくとも資格取得は目指せます)。

少し助言をさせていただくと、学芸員資格課程を受講するなら、文化施設の多い都心部の大学の方が有利なのかもしれません。(移動の出費や労力、文化施設に関する情報収集などを考えると)。

また、大学の立地のほかにも、大学自体の設備なども重要だと思います。課題をこなす上で美術や文化施設に関する書籍には大変お世話になるので、附属図書館の充実度をチェックしたりするのも大切だと思います。

これから大学で学芸員資格取得を考えている方はよろしければ参考にしてみてください。

瞳先生の出身校:静岡文化芸術大学についてはこちらから→「静岡文化芸術大学」

シェアはこちら